特許第5348243号

無線タグ一括読取り装置及びネットワーク物品管理システム

国際出願番号(PCT/JP2010/056717)
米国特許庁特許登録番号:US 8,686,857

既に権利化済みの特許第4727404号「読取り装置と物品管理システム」の改良特許です。物品読取り装置における読取り精度を高める方法に加え、ラック内に複数密集して格納された容器の、各々の位置情報を検出する手段を追加しています。また、単に物品読取り装置というだけでは無く、確実なトレーサビリティーを得るためのネットワーク物品管理システムについても掲載しています。
複数の採血管に貼付されたRFID情報を一括して読み取るだけでは、医療現場での要件を満たしません。ラックの格納場所全てに採血管が入っている場合であれば、目視で本数をチェックすることができます。しかし多くの場合、ラックに何本の採血管が入っているのかを瞬時に計数することは不可能です。

電磁波によるRFIDの読み取り本数のみで、採血管の総本数を判断することは危険です。電磁波による読み取りでは、ミスが発生する可能性があるからです。電磁波による読み取りをどんなに精度良く行ったとしても、100%完全に読み取るということは不可能です。

従って、何らかの形で、電磁波とは方法の異なるやり方で採血管の本数を計数し、電磁波による読み取り数と突合させて、読み取りエラーが無いかどうかを判定する仕組みが必須となります。本特許では、電磁波以外の方法で容器の数を計数し、電磁波読み取りの数と突合する方式についても詳述し権利化を行いました。電磁波以外の具体的方法については、実現可能なほぼ全ての方式を取り上げております。

また、最終的には、「全数読み取ったか」、「読み取りエラーが発生したか」だけでは無く、読み取りエラーが発生した場合、どの位置に格納されたRFIDを読み取ることができなかったのかを判断する方法についても述べています。

自動搬送システム付き真空採血管一括読取り装置
レーザーダイオードによるセンサ機構によりラック内の試験管数を計測

【発明の名称】無線タグ一括読み取り装置及びネットワーク物品管理システム
【出願番号】特願2011-509346(P2011-509346)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【特許番号】特許第5348243号(P5348243)
【登録日】平成25年8月30日(2013.8.30)

【請求項1】
それぞれ電磁波に応答してタグ情報を発信する無線タグが付けられた複数の物品から前記タグ情報を一括して読み取る無線タグ一括読み取り装置において、
前記複数の物品を格納するための複数の格納領域を備えるラックと、
前記ラックに格納された物品に向けて前記電磁波を照射し、前記無線タグから発信されるタグ情報を受信するアンテナ装置と、
前記アンテナ装置から照射される電磁波の指向性、強度、位相を制御する電磁波制御手段と、
前記アンテナ装置と前記ラックとの相対位置を制御する位置制御手段と、
前記アンテナ装置の受信信号から前記タグ情報を読み取る読み取り手段と、
前記ラック内の複数の格納領域それぞれについて前記物品の格納の有無を検出する物品検出手段と、
前記物品検出手段の検出結果から前記ラック内の格納領域に格納されている物品の総数を計数する計数手段と、
前記読み取り手段で読み取られたタグ情報の数と前記計数手段で計数された物品の格納数とを照合する照合処理手段と
を具備し、
前記照合処理手段は、照合結果から、前記ラックに格納されている全ての物品に貼布された無線タグのタグ情報が正確に読みとれたか、読み取り欠損が発生したか、欠損が発生した場合には、何本読み取ることができなかったかを判別し、前記タグ情報の読み取り数と前記物品の格納数とが一致しなかった場合に、前記電磁波制御手段に前記電磁波の指向性、強度、位相を変化させ、前記読み取り手段の読み取り結果と前記物品検出器の検出結果から正常に読みとれない物品とその格納場所を特定することを特徴とする無線タグ一括読み取り装置。
【請求項2】
さらに、前記アンテナ装置から照射される電磁波を遮断する電磁波暗室に前記ラックを配置した状態で前記物品を1本ずつ取り出して前記電磁波の照射領域に配置し、その物品のタグ情報の読み取り完了後に前記ラックに戻す物品可搬機構を備え、
前記照合処理手段は、前記タグ情報の読み取り数と前記物品の格納数とが一致しなかった場合に、前記物品可搬機構を通じて、前記電波暗室に配置されたラックから前記無線タグ付き物品を1本ずつ取り出して自動的に前記電磁波の照射領域へ配置して、その物品のタグ情報の読み取りを自動的に行い、正常に読み取れなかった物品およびその前記ラック内での格納位置を特定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ一括読み取り装置。
【請求項3】
さらに、前記物品検出手段の検出結果から前記ラックの物品が格納されている位置情報を収集し、前記読み取り手段で読みとることができたタグ情報と読み取りできなかった読み取り不可情報を前記物品の位置情報に対応付ける情報処理手段と、前記情報処理手段とネットワークを介して接続され、前記情報処理手段で収集された物品それぞれの情報を登録し管理するデータベースを備える管理サーバとを備え、
前記管理サーバは、前記データベースに登録される前記物品それぞれの情報に任意の管理情報を紐付けて登録することを特徴とする請求項1記載の無線タグ一括読み取り装置。
【請求項4】
前記物品に前記無線タグと共にそのタグ情報を記した識別情報ラベルが貼られているとき、前記管理サーバは、前記データベースに登録される物品のうち読み取り不可情報が対応つけられた物品について、その物品に張られた識別情報ラベルから読み取られるタグ情報に前記データベースの読み取り不可情報を書き換えることを特徴とする請求項3記載の無線タグ一括読み取り装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか記載の無線タグ一括読み取り装置と、
前記無線タグ一括読み取り装置がネットワークを介して接続され、前記読み取り装置で収集される情報を蓄積し管理する上位管理サーバと
を備え、
前記上位管理サーバは、前記蓄積された情報に基づいて前記物品の製造段階から使用段階、廃棄段階までのトレーサビリティーを確保し、前記タグ情報の受信不可が検出された場合に、その物品に新たに貼付される無線タグからのタグ情報を登録することを特徴とするネットワーク物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波に応答してタグ情報を発信する無線タグが装着された無線タグ付物品と、複数の無線タグ付物品が格納されたラックから全ての物品のタグ情報を一括して読み取る無線タグ一括読み取り装置と、ラック内の各容器の配置を自動的に検出し、データベース上に登録するラック内容器位置検出装置と、無線タグ一括読み取り装置の読み取り結果及びラック内容器位置検出装置の検出結果をネットワーク上の管理サーバで管理するネットワーク物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、RF-ID(Radio Frequency Identification)タグ、いわゆる無線タグには、用途に応じて、13.56MHz帯、2.45GHz帯、及びUHF帯(950MHz帯)といった製品が用意されており、それぞれの周波数帯のRF-IDは、利用目的に応じて各々使い分けられている。
【0003】
これらの無線タグを試験管や真空採血管等の容器に取り付ける際、従来はシールによる貼付もしくは容器を構成する素材そのものに埋設する提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、複数密集して並べられた物品の無線タグを、無線電波により全て読み取る技術が提案されている(例えば特許文献2,3、非特許文献1参照)。この読み取り方法としては、無線電波もしくは磁場もしくはそれらを併用(電磁波)することで行っているニア・フィールド(近接領域読み取り)技術と呼ばれている。従来、無線タグはいかにして長距離から読み取ることができるか、という課題を解決するために研究されてきた。これをファー・フィールド(長距離領域読み取り)技術と言う。しかし、スーパーのレジなど、複数の商品が狭い空間内に多く存在し、さらに背面に水分が含まれる容器も存在するような場合、従来技術ではそれらを一括して読み取ることは極めて困難であった。
【0005】
この課題を解決するために開発された技術が、ニア・フィールド(近接領域読み取り)技術と呼ばれるものであり、従来の電波照射による無線タグ読み取りに加え、磁場照射による読み取りを併用することで、多数密集し、しかも背面に水分がある容器に貼付された無線タグも読み取ることが可能となった。
【0006】
しかしながら、複数密集して配置された容器の実際の本数を、読み取りの欠損無く確認する具体的な方法は、未だ案出されていない。これは、医療分野等、高度の信頼性を要求される応用では、極めて問題となる。例えば、無線タグを貼付した真空採血管をラックに複数密集して格納した場合、無線電磁波で読み取る個数が、必ずしも実際の本数と合致しているかどうかの判断することができないのが実情である。さらに、無線タグが故障していないかどうか、読み取り可能かどうかを判断することも極めて困難な問題となっている。
【0007】
さらに、ラック内部に複数密集して格納された真空採血管等の容器の配置状況を自動的に取得し、データベース上に登録するシステムは、まだ実現されていない。これは、真空採血管等の容器の棚卸し(インベントリー)を定期的に実施する場合、極めて重要な機能となる。従来では、これらの処理が人の手により1本毎に行われていたため、多大な工数と費用が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-356688号公報
【特許文献2】特開2007-156953号公報
【特許文献3】特開2008-071071号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「データ書き込みができる試験管」小型RFIDチップを使った検体チューブ(試験管)管理システムを開発(ニュ-スリリース2006年07月)インターネット<http://www.maxei.co.jp/news/pdf/060714Jpn.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の無線タグでは、無線タグを使用する物品にシール等で貼付もしくは物品を構成する素材そのものに埋設する方法が採用されてきた。しかし、シール貼付の場合には、極低温や湿度の影響を受け、剥離もしくは破損するといった欠点があった。また無線タグを使用する物品に埋設する方法では、物品製造時の工程が複雑になりコストが高くなる上に、物品の素材により誘電率が変化し、無線タグの読み取り時に読み取り精度が不安定になる可能性があるという欠点があった。
【0011】
従来の無線タグを使用した物品の一括読み取り装置では、無線タグに対してアンテナから電波、磁場、もしくは電磁波を照射し、無線タグからの情報を読み取る方法が採用されていた(ニア・フィールド技術)。この場合、例えば試験管ラック等に格納した無線タグを貼付した試験管を一括で読み取る際、実際にラックに格納された試験管が何本であるかは、電磁波的に読み取った無線タグの読み取り結果でしか判断することができなかった。従って、無線タグそのものが破損、または無線タグの機能は正常でもその置かれた環境(無線タグのアンテナの方向、位置)によって無線タグが無線タグ読み取りアンテナからの電波、磁場、電磁波に応答できなかった場合、何本読み取り欠損があったのかを瞬時に把握することが困難であり、かつどの容器が読みとれなかったのかを特定することは、多大な手間がかかり困難であった。さらに、無線タグが故障していると判断された場合の処理について、物品のトレーサビリティーを100%確保する具体的な方法は、まだ開示されていない。
【0012】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは4点ある。
【0013】
一点目は、無線タグを対象となる物品そのものに印刷してしまうことで、コストダウンと無線タグの剥離を防ぐことである。
【0014】
二点目は、複数密集して配置された無線タグ付きの物品を一括して読み取る際、モータ等の駆動装置を用いて移動可能な無線タグ読み取りアンテナから電波、磁場、電磁波を照射して、無線タグを電磁波的な読み取りで読み取ると同時に、物理的あるいは光学的あるいは超音波等の音響的な手段を用いて前記無線タグ付きの物品の個数を計上し、前記電磁波的に読み取った個数と物理的に計上した個数とを照合させることで、無線電波による読み取り欠損が無いかどうか、あるいは破壊した無線タグが無いかどうかを瞬時に確認することができると共に、当該タグが貼付、埋設、印刷された容器に不具合が生じている場合、その場所を容易に特定する、無線タグ一括読み取り装置を提供することにある。
【0015】
三点目は、無線タグ読み取り装置に搭載された無線タグリーダ/ライタの回路の設定を人為的もしくは自動的に変えることにより、無線タグに照射する電波もしくは磁場もしくは電磁波の、照射方向の指向性と放射強度および位相を変え、さらに無線タグ読み取りアンテナの位置も変えることで、特定の場所にある無線タグのみに電磁波を照射する構造を有するか、もしくは複数密集して配置された無線タグ付き物品を電波的な暗室状態に置き、機械的な手段により電波もしくは磁場もしくは電磁波照射領域に、物品を1本ずつ出し入れすることにより、特定の場所にある無線タグのみに電磁波を照射する構造を有することで、当該無線タグが破損していないかどうか、あるいは当該無線タグがラック等の、複数密集して格納された状態にある場合に、どの位置に格納されているのかを調べることができるようにした無線タグ一括読み取り装置を提供することにある。
【0016】
四点目は、物品の製造から使用、廃棄に至るまで、100%のトレーサビリティーを確保するために、各無線タグ読み取り装置から読み取った情報を上位サーバで一括管理し、途中で故障したタグが見つかった場合には、その場で新たに無線タグを貼付し、新規IDをサーバ上で登録して、故障前の無線タグIDデータとリンクさせるか、あるいは無線タグとバーコードを一体化したものを使用することで、無線タグが故障した場合もしくは無線タグを読み取る環境が無い場合でも、バーコードを使用することで当該無線タグIDデータと上位サーバとをリンクさせることによって、どのような場合あるいは環境においても物品のトレーサビリティーを確保することができる物品読み取りシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明に係るクラスタリング手法は以下のような態様の構成とする。
【0018】
上記目的を達成するためにこの発明に関わる無線タグは、容器本体そのものに、無線タグおよびそのアンテナを印刷することにある。シリコン以外の素材にトランジスタ回路を形成することは、有機トランジスタの技術を用いて研究開発が行われており、ガラス、ポリエチレン等のプラスチック、紙上に、インクジェット技術等を使用して既に実現されている。本発明は、真空採血管、試験管などのキャップ付き容器の本体もしくはキャップに、上記技術を用いた無線タグおよびそのアンテナ回路を、直接印刷する。
【0019】
容器もしくはそのキャップそのものに無線タグを印刷することで、従来のように無線タグを貼付した際の剥離を防止することが可能となる。また、容器を超低温で保存した場合、貼付した無線タグのインレイ(無線タグチップとアンテナが、薄いプラスチック状シートに搭載されたもの)が、低温保存に伴う硬化により、些細な応力、張力が加わることで破壊してしまうといった問題を回避することができる。無線タグは容器本体に印刷により形成されるため、容器のキャップや容器本体、容器底面に無線タグを埋め込む場合と比較し、容器を形成する物質の誘電率の影響を受けにくくなり、安定した読み取りが可能となる。また、容器製造時に無線タグも同時に印刷により取り付けることができるため、後から貼付する手間が省け、コストダウンを実現できる。印刷による無線タグの取り付けの場合、ソースタギング(タグに個別IDを付与すること)は、無線タグを容器に印刷する際に実施する。無線タグを印刷した時点で、そのタグの持つIDは後述する上位サーバへ、本発明の無線タグ一括読み取り装置を使用して登録される。
【0020】
この発明に係わる無線タグ一括読み取り装置は、上述した印刷により容器に取り付けた無線タグのみならず、従来方法であるシールによる容器本体への貼付や、キャップ等へ埋め込まれた無線タグのいずれに対しても有効である。また、上述した容器が複数配列して収納される場合でも、収納ラック毎に一括して欠落無く無線タグを読み取ることができ、物品の管理を容易に行うことができる。
【0021】
この発明に係わる無線タグ一括読み取り装置では、従来の電波もしくは磁場もしくはその併用を用いて、電磁波的に無線タグを読み取ると同時に、物理的、光学的、もしくは超音波等の音響的な手段を併用して密集して配置された容器そのものの本数を物理的に計上し、電磁波的に読み取った個数と物理的に読み取った個数とを照合することで、読み取り欠損を瞬時に検出し、無線タグの破損の有無、破損場所の特定、無線タグを貼付した容器の総数、破損した無線タグを貼付した容器の場所の特定を容易に行えることができるようになっている。
【0022】
この発明に係わる無線タグ一括読み取り装置には、容器に印刷もしくは貼付された無線タグを読み取るための無線タグ読み取りアンテナを、ラックの周囲及び上部に配置し、さらに当該アンテナはモータ等の駆動装置によって位置を移動させることができるよう設計されている。ラック側面に配置された無線タグ読み取りアンテナは、ニア・フィールド(近接領域読み取り)技術を用いるため、ラックからなるべく近い距離に配置され、モータ等の駆動装置により、ラックの辺方向に沿って自在に位置を移動することができるようになっている。ラック上部に配置された無線タグ読み取りアンテナは、ラックに収納される容器の中で、一番高さが高い容器のすぐ上部に置かれるように調整され、モータ等の駆動装置により、ラック上で位置を移動することが可能となっている。こうすることで、無線タグ読み取りアンテナを無線タグに可能な限り近づけることができる。
【0023】
以上述べた構成は、ラックを固定した場合を想定していたが、逆に無線タグ読み取りアンテナを固定し、ラックの位置を移動させる方法を採用しても可能であるし、ラックと無線タグ読み取りアンテナの両方の位置を移動させるように構成しても良い。ラックの位置を移動させる方法の例としては、ラックをモータ等の駆動装置を用いて回転する台の上に置き、その周囲を無線タグ読み取りアンテナで取り囲むような構造にすることが考えられる。さらに、複数取り囲んだ無線タグ読み取りアンテナは固定していても、電子スイッチ的に無線タグ読み取りアンテナから照射する電磁波のオン・オフを、ソフトウエア的に自在に切り替えることにより、あたかも無線タグ読み取りアンテナが移動しているかのように振る舞わせることも考えられる。
【0024】
ラックと無線タグ読み取りアンテナとの位置関係を変化させる理由は、ラック中に貼付された無線タグの読み取り精度を向上させることにある。一般的に無線タグは、導体である無線タグのアンテナが電界もしくは磁界中を移動することで、アンテナに誘導起電力を発生させ、それを電源として無線タグを駆動させて機能を実行する。そのため、無線タグ読み取りアンテナと無線タグとの位置を連続的に変化させることで、無線タグのアンテナに発生する誘導起電力を増強し、読み取り精度を向上させることができる。さらに、無線タグ読み取りアンテナより照射する電磁波を、間欠的に照射する方法も併用することで、複数密集した無線タグ同士に均等に電磁波が照射されないために発生する「パワーシェアリング」という現象を回避でき、より高い精度で無線タグを読み取ることが可能となる。
【0025】
なお、パワーシェアリングとは、近接する複数個の無線タグがある場合、特定の1個が照射電磁波を全て吸収してしまうことにより、他のタグチップへ十分な出力の電磁波が供給されないことで生じる読み取り欠損を指す。
【0026】
電波もしくは磁場もしくはその併用を用いて、複数配列してラックに収容された容器の無線タグを読み取る場合、容器が多数密集していること、及び容器中に電磁波を吸収する水分が含まれる場合があることから、電波に加え磁場による読み取りを併用する。これはニア・フィールド(近接領域読み取り)技術と呼ばれている技術であり、広く実用化されている。ニア・フィールド対応のタグを使用することで、無線タグそのものに特殊な加工を講じなくても、複数密集し水分を含んだ容器の無線タグを、確実に読み取ることが可能となる。
【0027】
ただし、無線タグそのものが破損していた場合、従来の装置では、複数密集して配置された容器の中から破損した無線タグが貼付された容器を発見することが極めて困難であった。また、複数密集してラック内に格納した容器に貼付された無線タグのアンテナは、様々な方向を向いているため、中には無線タグ読み取りアンテナから照射される電磁波に反応しにくいものも出てくる可能性があった。さらに、容器を複数配列したラック中に格納される容器の総数が、常に一定では無い場合、電磁波的手法により読み取った数と、実際の容器の数とを照合するためには、ラック毎に容器の数を目視で計数し、電磁波的手法で読み取った個数と照合しなくてはならず、運用面で多大な工数が発生し現実的では無い。
【0028】
そこで、本発明では、物理的もしくは光学的もしくは超音波等の音響的手法を併用した方法で、容器の個数を計上することで、電磁波的に読み取った無線タグの個数と、実際の容器の個数とを瞬時に照合させると共に、もし両者の数値に不一致がある場合には、破損もしくは読みとれなかった無線タグが付いているという警告を発し、当該容器の場所を特定する機能を有している。
【0029】
容器の個数を計数するための物理的手段としては、容器を複数配列したラックの底面に針状のプローブを立て、ラック内で容器が入っている場所ではプローブが押し下げられることによりスイッチが入り、また容器が入っていない場所ではプローブは押し下げられないためスイッチが切れたままの状態であることを利用し、スイッチが入っている個数を計数すれば良い。この場合、ラック内の容器1個ごとに1つのスイッチが対応しており、ラックを無線タグ一括読み取り装置に格納した際に、ラック内の容器の本数を瞬時に検出する。
【0030】
容器の個数を計数するための光学的手段としては、容器を複数配置したラックの底面に、容器の配置と同じパターンで光学的スイッチを設置するか、もしくはラックの1列または1行に沿って配置した光学的スイッチを、1列または1行毎に移動させる手段を用い、容器がある場合にはスイッチが入り、容器が無い場合にはスイッチが切れたままであることを利用し、スイッチが入っている個数を計数すれば良い。光学的スイッチには、発光ダイオードの発光部と受光部が一体化されたものを使用するか、あるいはラックの底面に容器の配置と同じパターンでCdSセルのような受光素子を配置して、容器が上面にあれば明度が変化してスイッチがオンとなり、明度の変化が無ければスイッチが切れたままであることを利用し、スイッチが入っている個数を計数すれば良い。
【0031】
容器の個数を計数するための超音波等の音響的手段としては、容器を複数配置したラックの底面に、容器の配置と同じパターンで超音波発信器と受信器が一体化したものを設置するか、もしくはラックの1行または1列に沿って、容器と同じパターンで配置した超音波発信器と受信器が一体化したものを、1行または1列毎に移動させる手段を用いる。ラックに容器が入っている場所では、超音波は容器底面に反射して受信器に信号が入るが、容器が入っていない場所では、反射してくる超音波が無いため、スイッチは切れたままである。これを利用し、スイッチが入っている個数を計数すれば良い。
【0032】
以上説明した各種方法で、電磁波的に読み取った無線タグの個数と物理的、光学的、音響的に計数した容器の個数とを、装置内に設けたマイクロプロセッサで比較し、照合できれば全数確認が取れた旨を表示し、読み取り欠損があった場合には警告の表示を行う。
【0033】
照合結果に不一致が生じた場合には、自動読み取り装置では、読み取りができなかった無線タグの場所を特定する処理を行う。故障タグもしくは無線電波が到達しないことにより反応しないタグの位置検出には、下記の3つの方法が考えられる。なお、下記の3つの方法では、故障タグの位置を検出するだけでは無く、ラック内部に複数密集した各容器の無線タグの位置情報全般も取得することが可能である。
【0034】
最初の方法では、無線タグ読み取りアンテナから照射する無線電波、磁場の強度、指向性、位相を、無線タグリーダ/ライタに内蔵された回路のパラメータを適切に設定することで変更させることにより、無線タグの読み取り感度を、場所的に意図的に変化させることで、複数密集した無線タグのひとつひとつを検査し、正常に読みとれるかどうかを判断する方法である。この場合、自動読み取り装置では、複数の無線タグ読み取りアンテナを用いて検出を行う。
【0035】
無線タグ読み取り装置に内蔵されている無線タグリーダ/ライタには、照射する電磁波の強度、位相、角度を調整する機構が内蔵されている。無線タグへ照射する電波は、位相変調回路、強度変調回路および照射角度変調回路等を介して、位相、強度、角度を任意に変更し、任意の無線タグ読み取りアンテナへ送出することが可能である。これらの回路へ適切な指示を出すことで、それぞれのアンテナから照射する電磁波の強度、指向性、位相を変えることができ、読み取り空間内部に感度の高い部分と感度が無い部分を意図的に作り出すことが可能となる。感度の高い部分を上記無線タグ読み取り装置への指示で移動させることにより、無線タグひとつひとつに順番に感度の高い読み取り電磁波照射でき、そこで反応が得られれば、その場所にある無線タグは正常であることを示し、反応が無い場合には、その場所にある無線タグが破壊しているか、もしくは一括読み取りの際に無線タグの配置状態、無線タグのアンテナの方向が悪いために応答ができなかったことが判明する。
【0036】
二番目の方法では、容器を複数配置したラックの外側に、スリット状の間隔がある金属シールドを配置し、この金属シールドを無線タグ読み取りアンテナと同時にラックの端から端へ移動させることにより、列および行ごとに容器の本数を計数する方法である。ラックの前後左右に4個の電波照射アンテナを配置する。これらのアンテナは全て、モータ等の駆動装置を用いて左右に移動できる構造を持つ。最初、ラックの長辺に配置された2個のアンテナのみを使用し、短辺に配置された2個のアンテナは使用しない。ラックの外側には、「コ」の字型をした金属シールド板があり、前記シールド板にはラック1列分の間隔が空いている。金属シールドの間隔の後方にアンテナを配置し、ラックの端から端まで、1列ずつ無線タグを読み取ってゆく。その際、アンテナからの照射電磁波は、上記無線タグ読み取り装置の照射電磁波の強度、位相、角度を調整する機構を適切に調整することによって行われる。
【0037】
電磁波照射一括読み取り時の場合と異なり、1列分の空間だけが読みとれる程度に強度、指向性、位相を変更させる。読み取っている列に格納されている容器の個数は予め物理的な手段で判っているため、電磁波的な読み取り結果と物理的な読み取り結果とが照合し、計数が合えば、その列には読み取り欠損が無かったことが判明する。もし電磁波的な読み取り結果と物理的な読み取り結果とを照合し計数が合わない場合には、その列に破損した無線タグ、あるいは無線タグのアンテナ配置が悪かったために検出できなかった無線タグがあることがわかる。
【0038】
次に上記の方法を、ラックの短辺(行)について実施する。ラックの列で検出できなかった無線タグの場所をX、ラックの行で検出できなかった無線タグの場所をYと置けば、座標(X,Y)にある無線タグに問題があることが検出できる。
【0039】
三番目の方法は、ラック全体を電波暗室状態の区域に置き、アクチュエータを介してラックに格納されている容器を1本ずつ電波照射領域へ取り出し、その容器に貼付されている無線タグの情報を読み取った後、電波暗室区域のラックに戻す方法を採用する。これにより、ラック全ての容器を1本ずつ電波、磁場、電磁波で読み取ることで、当該無線タグが故障しているかどうかを判断することができ、またアクチュエータの位置から、当該無縁タグがラックのどの位置に格納されているのかも合わせて取得することが可能となる。電波暗室区域と電波照射区域との間は、一定の濃度で金属片を塗布した電磁波遮蔽布を用いて電波を遮断するか、もしくは金属製の板にシャッターのような開閉機構のついた穴を用意し、容器取り出し時にのみ開き、電磁波照射時には閉じておくような仕組みを採用する。
【0040】
上述のように、本発明の無線タグ一括読み取り装置では、複数密集してラックに格納された容器に貼付された無線タグを一括して読み取ることができ、また無線タグの故障、容器に貼付された無線タグのアンテナの位置関係から、正常に読み取ることができない無線タグが発生した場合、その位置を特定することが可能となる。さらに、複数密集して格納された容器の、ラック内部での位置情報も取得することが可能となる。
【0041】
もし読み取りができない無線タグが出てきた場合には、その容器に貼付されている無線タグが、故障なのか、それとも無線タグは正常で、読み取り時のアンテナの向きが悪かったのかという問題点を切り分ける必要がある。これは、当該無線タグを取り出し、別途設けた無線タグ故障診断用の無線タグ読み取りアンテナに、近距離で単体にてかざすことにより、容易判定できる。無線タグの故障により読み取りができないと判定された場合には、その場で、新しい無線タグを容器に貼り付けることにより、新規にIDを付与する。
【0042】
本発明の無線タグ読み取り装置は、上位に設置されたサーバ上へ、読み取り結果を逐次インターネット経由で送信し、前記サーバでは読み取り結果をデータベースに蓄積する。これにより、容器を製造した時点から、実際に使用し廃棄に至るまで、読み取り装置で読み取った無線タグのIDは一意的に管理され、トレーサビリティーが確保できることになる。しかし、途中、上述したように無線タグの故障により新規無線タグを貼付した場合には、その場で従来割り振られていた無線タグIDを、故障時に貼付した無線タグのIDと、サーバ内のデータベース上でリンクさせることで、故障時でもトレーサビリティーを100%確保することが可能となる。
【0043】
さらに、無線タグとバーコードとを一体化したものを容器に貼付することで、容器の流通経路上に無線タグ読み取り装置が無い場合でも、バーコードを読み取ることで代用することができ、また無線タグが流通経路上で故障した場合には、バーコードを用いた方法を用いることにより、どのような環境下においても100%のトレーサビリティーを確保することができるようになる。
【発明の効果】
【0044】
本発明により上記課題が解決され、以下に示す効果が期待できる。
【0045】
まず、無線タグそのものを容器もしくはキャップに印刷してしまうことで、後から無線タグを容器やキャップに貼付する手間が省け、コスト低減が可能となる。また、容器やキャップに無線タグを埋め込まないことで、容器やキャップの素材による誘電率の変化が無線タグの読み取りに影響を与える心配も無い。また、従来のように無線タグを容器もしくはキャップに貼付した場合、容器の保存温度の変化による無線タグ剥離の可能性があるが、容器そのものに無線タグを印刷することで、その心配は無くなる。
【0046】
次に、本発明の無線タグ一括読み取り装置では、無線タグ読み取りアンテナをモータ等の駆動装置で移動させたり、あるいはラックの周囲に無線タグ読み取りアンテナを複数配置したり、無線タグ読み取りアンテナと無線タグとの相対位置を変えながら無線タグの情報を読み取ったり、無線タグ読み取りアンテナから照射する電磁波の位相、強度、方向を変更させることにより、凝集して配置された複数の容器に貼付された無線タグの情報の読み取り精度を向上させることができる。
【0047】
次に、本発明の無線タグ一括自動読み取り装置を用いることで、今まで行われてきた、ラックに何本の容器が格納されているのかを目視で計数するという多大な手間が省け、瞬時に容器の数を計数することができる。さらに、無線タグを電磁波で一括して読み取った数値と、本発明の物理的な手法を用いた容器の本数とを照合することで、無線タグの読み取り欠損があるかどうか、無線タグが故障していないかどうかを瞬時に把握することが可能となる。
【0048】
次に、本発明の自動読み取り装置を用いれば、電磁波による読み取り結果の本数と、物理的手段による本数とを照合し、両者の数が合わなかった場合、自動的にどの位置にある無線タグが故障もしくは反応していないのかを特定することができるため、1本ずつラック中の容器を取り出して、無線タグが読めるかどうかを検査する手間が省けるという効果がある。
【0049】
次に、本発明の自動読み取り装置を用いれば、ラックの中の容器の位置情報を得ることができ、どのラックの何列、何行に目的とする容器が格納されているのかを随時把握し管理することが可能となる。
【0050】
次に、故障した無線タグが貼付された容器が特定された場合、その場で新規に無線タグを貼付し、容器に新しいIDを付与することで、故障後の物品管理を継続的に行うことができるようになる。
【0051】
次に、無線タグとバーコードとを併用して物品管理を行うことで、無線タグの読み取り装置が無い環境でも物品の追跡、管理を行うことができ、また無線タグが故障した場合に、新規に無線タグを貼り付けること無しに、バーコードで管理するように切り替えることで、物品管理を継続的に行うことができるようになる。
【0052】
次に、本発明の無線タグ一括自動読み取り装置は、インターネットを経由してサーバ側PCのデータベースに読み取り結果を蓄積する。従来は読み取り装置は、RS-232C等のシリアルI/F経由でパソコンと接続されていたため、各読み取り装置に1台、専用のパソコンが必要になっていた。そのため、複数台の読み取り装置がある場合には、パソコンも複数台必要となり、多額の設備投資が必要となり、また各読み取り装置が収集したデータは、各パソコンに分散して格納されてしまうため、データの一元管理ができなかったが、本発明の装置を使用することにより、各読み取り装置はIPネットワーク経由で1台のマネージャPCのデータベースへデータを送信できるため、導入設備の軽減とコスト削減、及びデータの一元管理、個人情報等の漏洩の未然防止が可能となる。
【0053】
さらに、本発明を使用することで、物品のトレーサビリティーが向上し、例えば採血を行った場合、どのような検査をいつ実施したのか、どこの検体会社で検査を行ったのか、いつ検体を廃棄したのか、といった一連の履歴がセンター側PCのデータベースに残るため、医療事故を防止し、後日検査内容の詳細をいつでも閲覧できるという効果がある。また前述した無線タグが故障した場合にも、故障した無線タグに新規にタグを貼り、新たに付与したIDを以前のIDとサーバ上でリンクさせる方法を用いるか、もしくは無線タグとバーコードを併用したものを用いることで無線タグが故障した場合にバーコードシステムに切り替え、バーコードIDを以前のIDとサーバ上でリンクさせる方法を採用することで、どのような場合にも確実にトレーサビリティーを確保できるといった利点がある。
【0054】
本発明によれば、クラスタリングによるDBSCANアルゴリズムを逐次的に実行することができ、逐次的にデータが得られる状況でクラスタリングを実行する計算コストを削減することのできるクラスタリング手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態として容器キャップへの無線タグ印刷例を示す図である。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施形態として容器キャップへの無線タグ印刷例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態として本発明の容器本体へのアンテナ及び無線タグチップを備える無線タグの印刷例を示す容器本体への無線タグ印刷例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態として容器底面への無線タグ印刷例を示す図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態に係るラックと容器検出装置の構成例を示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態に係るラックと容器検出装置の構成例を示す図である。
【図4C】図4Cは、本発明の一実施形態に係るラックと容器検出装置の構成例を示す図である。
【図4D】図4Dは、本発明の一実施形態に係るラックと容器検出装置の構成例を示す図
である。
【図5A】図5Aは、図4に示す容器検出装置の具体例を示す図である。
【図5B】図5Bは、図4に示す容器検出装置の具体例を示す図である。
【図6A】図6Aは、上記容器検出装置の実施例として、物理的接点を持つスイッチを利用した容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図6B】図6Bは、上記容器検出装置の実施例として、物理的接点を持つスイッチを利用した容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図7A】図7Aは、上記容器検出装置の実施例として、LEDセンサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図7B】図7Bは、上記容器検出装置の実施例として、LEDセンサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図8A】図8Aは、上記容器検出装置の実施例として、光量センサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図8B】図8Bは、上記容器検出装置の実施例として、光量センサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図9A】図9Aは、上記容器検出装置の実施例として、超音波センサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図9B】図9Bは、上記容器検出装置の実施例として、超音波センサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図10A】図10Aは、上記容器検出装置の実施例として、圧電センサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図10B】図10Bは、上記容器検出装置の実施例として、圧電センサを利用したスイッチ構造の容器検出装置の構成と動作状況を示す図である。
【図11】図11は、上記容器検出装置の実施例として、LEDを用いた容器本数読み取りユニットの構造例を示す図である。
【図12A】図12Aは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動方法の概要として、読み取り開始時の状態を示す上面図である。
【図12B】図12Bは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動方法の概要として、読み取り開始時の状態を示す斜視図である。
【図13A】図13Aは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動方法の概要として、読み取り終了時の状態を示す上面図である。
【図13B】図13Bは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動方法の概要として、読み取り終了時の状態を示す斜視図である。
【図14A】図14Aは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動機構の一例を示す上面図である。
【図14B】図14Bは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動機構の一例を示す長辺方向の側面図である。
【図14C】図14Cは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動機構の一例を示す短辺方向の側面図である。
【図15】図15は、上記容器検出装置を利用したラック格納容器の自動読み取り装置の概要を示す斜視図である。
【図16A】図16Aは、本発明の一実施形態に係る容器一括読み取り装置の側面アンテナ駆動機構の構成を示す上面図である。
【図16B】図16Bは、本発明の一実施形態に係る容器一括読み取り装置の側面アンテナ駆動機構の構成を示す長辺方向の側面図である。
【図16C】図16Cは、本発明の一実施形態に係る容器一括読み取り装置の側面アンテナ駆動機構の構成を示す短辺方向の側面図である。
【図17A】図17Aは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置の上面アンテナ駆動機構を示す上面図である。
【図17B】図17Bは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置の
上面アンテナ駆動機構を示す長辺方向の側面図である。
【図17C】図17Cは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置の上面アンテナ駆動機構を示す短辺方向の側面図である。
【図18A】図18Aは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置のラック格納容器の自動読み取り装置の概要を示す上面図である。
【図18B】図18Bは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置のラック格納容器の自動読み取り装置の概要を示す側面図である。
【図19】図19は、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置のラック格納容器の自動読み取り装置の他の構成例を示す上面図である。
【図20A】図20Aは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置のラック格納容器の自動読み取り装置の他の構成例を示す図である。
【図20B】図20Bは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置のラック格納容器の自動読み取り装置の他の構成例を示す図である。
【図20C】図20Cは、図16A,図16B,図16Cに示す容器一括読み取り装置のラック格納容器の自動読み取り装置の他の構成例を示す図である。
【図21】図21は、上記自動読み取り装置の制御装置の内部処理を示すブロック図である。
【図22】図22は、上記容器底面の無線タグを読み取る方法の概要を示す図である。
【図23】図23は、上記容器底面の無線タグを読み取る方法の他の概要を示す図である。
【図24】図24は、上記容器の特定の無線タグに電磁波を照射するための機構を示す図である。
【図25A】図25Aは、上記ラックの列ごとに不良無線タグを検出する方法を示す図である。
【図25B】図25Bは、上記ラックの列ごとに不良無線タグを検出する方法を示す図である。
【図26】図26は、上記ラックの列ごとに不良無線タグを検出する他の方法を示す図である。
【図27】図27は、ゲート型の容器本数読み取りユニットを用いた無線タグ一括自動読み取り装置の例を示す斜視図である。
【図28A】図28Aは、ゲート型の容器本数読み取りユニットを用いた場合の、アンテナと容器本数読み取りユニットの駆動機構について示す上面図である。
【図28B】図28Bは、ゲート型の容器本数読み取りユニットを用いた場合の、アンテナと容器本数読み取りユニットの駆動機構について示す長辺方向の側面図である。
【図28C】図28Cは、ゲート型の容器本数読み取りユニットを用いた場合の、アンテナと容器本数読み取りユニットの駆動機構について示す短辺方向の側面図である。
【図29A】図29Aは、ラック内に格納された各容器の位置検出を行うための一例を示す上面図である。
【図29B】図29Bは、ラック内に格納された各容器の位置検出を行うための一例を示す斜視図である。
【図29C】図29Cは、ラック内に格納された容器の一例を示す斜視図である。
【図30A】図30Aは、容器位置検出装置の概要を示す図である。
【図30B】図30Bは、容器位置検出装置の概要を示す図である。
【図31A】図31Aは、容器の位置特定の動作を示す図である。
【図31B】図31Bは、容器の位置特定の動作を示す図である。
【図32】図32は、ラック内容器の位置検出機構の別の構成例を示す図である。
【図33A】図33Aは、ラック毎の位置検出情報の、管理PC上での表示例を示す図である。
【図33B】図33Bは、ラック毎の位置検出情報の、管理PC上での表示例を示す図である。
【図34】図34は、本発明に係るIPネットワークを使用した物品管理方法のシステム全体構成を示す図である。
【図35】図35は、本発明に係る採血を例に取った無線タグを使用したトレーサビリティー確保の例を示す図である。
【図36】図36は、一般診療機関での血液検査の工程を例に取り、本発明の実施形態を説明するための図である。
【図37】図37は、一般診療機関での血液検査の工程を例に取り、本発明の実施形態を説明するための図である。
【図38】図38は、一般診療機関での血液検査の工程を例に取り、本発明の実施形態を説明するための図である。
【図39A】図39Aは、無線タグのラベル面にバーコードを印刷しインレイ化したものの構造を示す上面図である。
【図39B】図39Bは、無線タグのラベル面にバーコードを印刷しインレイ化したものの構造を示す断面図である。
【図39C】図39Cは、無線タグのラベル面にバーコードを印刷しインレイ化する場合のバーコード・ラベルの一例を示す図である。
【図39D】図39Dは、無線タグのラベル面にバーコードを印刷しインレイ化する場合のインレイの一例を示す図である。
【図39E】図39Eは、無線タグのラベル面にバーコードを印刷しインレイ化する場合の粘着テープ(もしくは糊層)の一例を示す図である。
【図40】図40は、無線タグが故障した場合の対応方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0057】
図1Aは、本発明に係る容器キャップ11への無線タグ印刷例を示す上面図及び側面図、図1Bは上記容器キャップ11を容器本体12に装着した状態を示す側面図である。本発明を血液検査等で用いられている真空採血管に使用する場合、容器キャップ11の上面に、その周囲に沿って、馬蹄型のループアンテナ131とこのアンテナ131に接続される無線タグチップ132を印刷することで、容器キャップ11の上面に無線タグ13を形成する。これにより、容器キャップ11には、上面に無線タグを印刷形成する場合でも、採血時の針の貫通口を確保することが可能となる。
【0058】
図2は、本発明の容器本体12へのアンテナ151及び無線タグチップ152を備える無線タグ15の印刷例を示す。無線タグ15は、図2に示すように容器本体12に対して縦方向に印刷する場合に限らず、横方向に印刷するようにしてもよい。無線タグ15のアンテナ151の長さは、容器本体12への印刷方法により、使用する無線タグの照射電磁波の波長λより計算して決定する。
【0059】
図3は、本発明の容器本体12の底部への無線タグ印刷例を示す。無線タグ16は容器12の底部に印刷される。図1の場合と同様、無線タグ16は馬蹄型状のループアンテナ161を無線タグチップ162に接続した構成を持つ。
【0060】
図4A,図4Bに、それぞれ上記無線タグ付容器22を格納配列する容器格納ラック21と容器検出装置23の配置構成を示す。容器格納ラック21は、予め決められた行×列の配置をしており、容器検出装置23も容器格納ラック21と同様の構造を持つ。容器格納ラック21の下部に容器検出装置23を配置することで、実際にラック21に入っている容器22を検出し、計数することが可能となる。
【0061】
図4Cに、容器格納ラック21の一部に、容器22が入っていない場合の、容器格納ラック上面図を示す。容器22がラック21に入っている場合、容器22の下部に設置された容器検出装置23のセンサは見えないが、容器22が入っていない場所では、容器検出装置23のセンサが露出している。図4Dに示すように、容器格納ラック21に容器22が1本も格納されていない状態では、容器22の配列パターンと同じように、容器検出装置23の検出センサが、ラック21の底面に並んでいる。
【0062】
図5A,図5Bに、本発明の容器検出装置23に使用するセンサの一例として、プローブ型の検出センサ231を用いた場合の配置構造を示す。図5A,図5Bでは、プローブ型検出センサ231を10個分記載しているが、センサ231の配置は容器22を格納するラック21に応じて行列型に配置される。今、ラック21に容器22が入っていない場合には、プローブ型検出センサ231はバネによりプローブ2311が押し上げられた状態となり、スイッチ2312はOFFとなっている。
【0063】
図6A,図6Bに、ラック21に容器24を入れる前後の、プローブ型検出センサ231の動作を示す。容器22がある場所では、容器22の自重によりプローブ2311が押し下げられ、スイッチ2312がON状態となる。しかし、容器が無い場所では、プローブ2311は押し下げされず、スイッチ2312はOFFのままとなる。このONとOFFの2つの状態で、ラック21の各位置に容器22が格納されているかどうかを識別することが可能となる。
【0064】
図7A,図7Bに、LEDセンサ232を利用したスイッチ構造の容器検出装置23の構成と動作状況を示す。この場合の容器検出装置23では、各容器22の配置場所の下部にそれぞれLEDセンサ232が配置される。このLEDセンサ232は、LED発光部2321と受光部2322を一体化し、LED発光部2321から図中上方に向けて光を発して、その反射光を受光部2322で受光することでONとなる構造となっている。すなわち、容器22が格納されていない場合、LED発光部2321から発した光は上方に抜けて受光部2322に到達せず、OFFのままとなっている。しかし、容器22が格納されると、LED発光部2321からの光が容器22の底部で反射して受光部2322に到達し、ONとなる。このONとOFFの2つの状態で、ラックの各位置に容器が格納されているかどうかを識別することが可能となる。尚、LEDセンサ232を容器22の上部に設置し、容器キャップ(図示せず)からの反射を検出するようにしても同様に実施可能である。
【0065】
図8A,図8Bに、CdSセル等の光量センサ233を利用したスイッチ構造の容器検出装置23の構成と動作状況を示す。この場合の容器検出装置23では、各容器22の下部に光量センサ233が配置される。この光量センサ233は、入射する光量が多くなるとOFFとなり、ONとなる構造となっている。
【0066】
容器22がラックに格納されていない場合には、光量センサ233が検出する光量が多いためOFF状態となるが、ラックに容器22が格納されている場所では、容器22により入射光が遮られるため、光量センサ233はONとなる。このONとOFFの2つの状態で、ラックの各位置に容器22が格納されているかどうかを識別することが可能となる。
【0067】
図9A,図9Bに、超音波センサ234を利用したスイッチ構造の容器検出装置23の構成と動作状況を示す。この場合の容器検出装置23では、各容器22の下部に超音波センサ234が配置される。この超音波センサ234は、超音波発信源2341と超音波受信部2342を一体化し、超音波発信源2341から図中上方に向けて超音波を発信して、その反射波を超音波受信部2342で受信することでONとなる構造となっている。すなわち、ラックに容器22が無い場合、超音波は遮るものが無いため直進し、受信部2342に到達できずOFFとなる。しかし、容器22が格納されている場所では、容器22の底部で超音波が反射し、受信部2342に超音波信号が入りONとなる。このONとOFFの2つの状態で、ラックの各位置に容器22が格納されているかどうかを認識することが可能である。
【0068】
図10A,図10Bに、圧力センサ235を利用したスイッチ構造の容器検出装置23の構成と動作状況を示す。この場合の容器検出装置23では、各容器22の配置場所の下部にそれぞれ圧力センサ235が配置される。この圧力センサ235は、図中上方に向けて延設される探針(プローブ)2351と圧電スイッチ2352を一体化し、探針2351に上方から与えられる圧力で圧電スイッチ2352がONとなる構造となっている。すなわち、容器22がラック21に入っていない状態では、プローブ2351には何も触れていないため、圧電スイッチ2352に圧力は加わらず、OFFのままである。しかし、容器22がラック21に収容されると、その容器22がプローブ2351を押すことにより、圧電スイッチ2352が反応してONとなる。
【0069】
以上の各センサは、ラックの底部に配置してもラック上部に配置してもよい。またラックの収納パターンに応じて配置しても、ラック1行またはラック1列分だけを配置したものを、列毎あるいは行毎に動かすことでスキャンさせてもよい。例えば、ラックが5列×10行の場合、各センサを5列×10行に配置してもよいし、5列のセンサを1行毎に、10回移動させてスキャンしてもよいし、あるいは10行のセンサを1列毎に5回移動させてスキャンさせてもよい。
【0070】
図11は、LEDを用いた容器本数読み取りユニット23Aの構造例を示している。この例では、ラック21の列に沿って直線状にLEDによる受発光型センサユニット(以下、LEDセンサ)232を配置した容器本数読み取りユニット23Aを、ラック21の行毎に移動させてスキャンし、容器22の本数を計数して行く。容器本数読み取りユニット23Aは、ラック21の上部を行毎にセンシングしながら移動する。容器22が収納されていない場所のセンサ232は、容器キャップ222による反射が無いためONとならない。ラック21が例えば5行×10列の場合、5個のセンサ232を列状に配置した容器本数読み取りユニット23Aを10回移動させれば、ラック21の内部にある容器22の本数を全て計数することが可能となる。
【0071】
図12A,図12Bは、図11の容器本数読み取りユニット23Aの実際の駆動方法の概要を示したもので、読み取り開始時の状態を示したものである。また、図13A,図13Bは容器本数読み取りユニット23Aの、読み取り終了時の状態を示したものである。ラック21の上部に容器本数読み取りユニット23Aを設置し、その支柱23Bを左右に動かすことで、ラック21の上部をスキャンさせ、ラック21内の容器22を計数する。この場合、容器本数読み取りユニット23Aをラック21の上部で移動させているが、反対に容器本数読み取りユニット23Aを固定し、ラック21を移動させて読み取っても構わない。
【0072】
図14A,図14B,図14Cは、図11の容器本数読み取りユニットの駆動機構の一例を示したものである。容器本数読み取りユニット23Aは支柱23Bによりラック21の上部に配置される。支柱23Bは本数読み取りゲート移動台23Cに固定され、移動台23Cはチェーン(もしくはベルト)23Eに固定され、チェーン23Eは回転ギヤ23F、23Gを通じてモータ23Kとゲート移動台チェーン(もしくはベルト)23Eにより、図中左右に移動できるよう構成されている。モータ23Kにはステッピングモータを採用し、ラック1行もしくは1列分の容器22を計数した後、正確に次の列もしくは行まで移動するよう構成されている。
【0073】
図15は、本発明に係るラック21に収容された容器22の無線タグ一括読み取り装置の一例を示す。本発明の無線タグ一括読み取り装置の読み取り対象は、前述の印刷無線タグの他に、通常の無線タグ、容器埋込型無線タグおよび容器貼付型無線タグにも適用される。
【0074】
図15では、読み取り装置31は箱状となっており、容器ラック21を出し入れする扉32が設けられているが、この扉32にも無線タグ読み取りアンテナ45が設置されている。読み取り装置31の内部には、格納ラック21の左右前後と上部に、無線タグ読み取りアンテナ41~45が設置されている。また、格納ラック21の下部には、前述した容器検出装置23が搭載されている。容器21を読み取り装置31の内部に設置すると、容器検出装置23が直ちにラック21に格納された容器の本数を計数する。無線タグの読み取り方法は4通りある。一つはモータ等の駆動装置を用いて、無線タグ読み取りアンテナをラック21の辺に沿って移動させる方式で、ラック21の端から端までアンテナが移動することで、容器22の無線タグを一括して読み取る。
【0075】
もう一つは、アンテナは固定しておき、格納ラック21をモータ等の駆動装置を用いてアンテナの前を通過するように移動させることで、容器22の無線タグを一括して読み取る方法である。もう一つは、複数の無線タグ読み取りアンテナを固定しておき、ラック21をモータ等の駆動装置を用いてターンテーブル上で回転させる方法である。もう一つはラック21を台上に固定しておき、ラック21の周囲を囲んだ複数の無線タグ読み取りアンテナより同時もしくは順番に電磁波の照射を行い、一括読み取りを実施する方法である。
【0076】
読み取り装置31には、電磁波により読み取った無線タグの本数と、容器検出装置23によって計数した容器の本数とが読み取り結果表示部35に表示されると同時に、ラック21中の容器22の配置図も表示される。もし双方の値を照合して不一致が出た場合には、警告を発すると共に、異常を知らせる表示を行い、ランプ34を点灯する。照合の結果が一致した場合には、正常終了を知られる表示を行い、ランプ33を点灯し、無線タグに格納されているID等のデータを装置制御装置51からネットワーク経由で上位サーバへ送信する。ラック21に格納された容器22の無線タグが正常に読み取られたら、扉32を開けてラック21を取り出し、次のラックを格納する。
【0077】
図16A,図16B,図16Cに、本発明の無線タグ一括読み取り装置での、側面無線タグ読み取りアンテナの駆動機構の仕組みを示す。側面に配置された無線タグ読み取りアンテナ671,672は、支柱661,662により無線タグ読み取りアンテナ移動台65に固定されている。側面に配置される無線タグ読み取りアンテナ671,672は、左右対向した位置に置かれ、これらのアンテナを読み取りアンテナ移動台65が移動させる。読み取りアンテナ移動台65には、チェーンもしくはベルト64が付けられており、回転ギア62,63を介して左右に自在に移動できるように構成される。回転ギアの一方には、読み取りアンテナ駆動台65を移動させるためのモータ61が設置される。ラック21中の容器22に印刷もしくは貼付された無線タグを一括して読み取る際には、側面に配置された読み取りアンテナ移動台65をラック21の左端から右端まで移動させた後、一旦停止した後、今度は右側から左側へ移動させ、一往復させる。電磁波による読み取り精度を向上させるために、数回往復して無線タグ情報を読み取らせると効果的である。
【0078】
図17A,図17B,図17Cに、本発明の無線タグ一括読み取り装置の、上部に配置された無線タグ読み取りアンテナ75の駆動機構を示す。上部に配置された無線タグ読み取りアンテナ75は、無線タグ読み取りアンテナ移動台76に接続されている。無線タグ読み取りアンテナ移動台76には、チェーンもしくはベルト74が付いており、回転ギア72,73を介して左右に移動できる機構になっている。左右にある回転ギアのうち片方には、無線タグ読み取りアンテナ75を移動させるためのモータ71が付いている。さらに、容器22はさまざまな高さのものがあると想定されるため、本発明の無線タグ一括読み取り装置では、上部無線タグ読み取りアンテナ75の高さ位置を、最も高い容器の直上になるよう、設定できるようになっている。これによって、異なる高さの容器が混在するラック21では、最高の高さ位置に設定して読み込み、容器22の高さが全て低い場合には、低い位置に設定することができるので、無線タグ読み取りアンテナ75を可能な限り無線タグに接近させることができるようになっている。
【0079】
図18A,図18Bに、本発明の無線タグ一括自動読み取り装置でのアンテナとラックとの相対配置の別の例を示す。図15、図16A,図16B,図16C、図17A,図17B,図17Cでは、アンテナもしくはラックが直線上に前後に移動することで一括読み取りを行っていたが、図18A,図18Bでは回転するラック格納用ターンテーブル81にラック21を置き、その回りに複数個の無線タグ読み取りアンテナ821~824を配置した構造となっている。ラック21の下には、容器検出装置23が設置されている。この状態でラック21をターンテーブル81に設置する。ターンテーブル81の下には、ターンテーブル81を回転させるためのモータ83が配置されており、複数回回転させることで容器22の無線タグを一括して読み取る。なお、ラック21の上部にも、無線タグ読み取りアンテナ83が配置されており、これは図17A,図17B,図17Cに示したように高さ方向の取り付け位置を変更できるようになっていて、高さが低い容器の場合には、アンテナ位置を低くし、無線タグになるべくアンテナを接近させた状態に設定できるようになっている。
【0080】
本方式では、アンテナはターンテーブル81の周囲の他に、ターンテーブル81の下部もしくはラック21上部にも設置し、読み取り精度を向上させる。ラック21の上部もしくは下部には、容器検出装置23を配置し、容器22の本数を同時に計数する。
【0081】
図19に、本発明の無線タグ一括自動読み取り装置での、アンテナとラックとの相対位置の別の例を示す。図18A,図18Bでは、ターンテーブル81の周囲に配置した無線タグ読み取りアンテナは固定されていたが、本装置では、容器格納ラック設置台91及びその上に配置したラック21は固定したままにしておき、設置台91の周囲に複数個の無線タグ読み取りアンテナ921~928を配置することで、一括読み取りを可能としている。
【0082】
無線タグ読み取りアンテナからの電磁波照射は、全部一度に照射しても良いし、順番に円を描くように照射しても良いし、対向するアンテナ対のみが照射しても良い。要するに、一括読み取り時の状態により、電波照射方法を様々に変化させることで、読み取り精度の向上を図る。この方式の場合でも、ラック上部もしくは下部に付加的な無線タグ読み取りアンテナを設置し、ラック21の上部もしくは下部に容器検出装置23を設置する。
【0083】
なお、本方式の拡張機能として、医療機器におけるCTスキャナと同様の原理で、アンテナから照射される電磁波の強度、指向性、位相、発信アンテナの数と電波照射角度等を変化させながら複数回に渡り読み取りを行い、その結果を基に、破損もしくは反応しない無線タグの位置を検出する。
【0084】
図20A,図20B,図20Cに、光学的手段を使用した本発明の容器検出方法の例を示す。この図では、無線タグ読み取りアンテナの表示は省略してある。容器格納ラック21の下部には、容器検出装置23を設置し、ラック21内の容器の本数を計数する。これと同時に、ラック21上面にカメラA1を設置し、ラック上面全体を撮影する。カメラA1には画像認識エンジンを搭載したプロセッサユニットによる画像処理装置A2が接続されており、画像処理を行い、容器が入っていない位置を特定する。これと前記容器検出装置23との結果を照合することで、より正確に、ラック中に容器が入っていない場所を特定することができる。もちろん、容器検出装置単体、カメラによる検出単体で容器の有無を検出しても構わない。
【0085】
図21に、格納ラック中の容器の本数と、無線タグ読み取りアンテナにより電磁波によって読み取った本数とを照合するための装置のブロック図を示す。無線タグ読み取り装置には複数の無線タグ読み取りアンテナB11~B1nが接続される。これらのアンテナの配置は、図18A,図18B、図19、図20A,図20B,図20Cに示したように、様々なところに配置される。一方、容器検出装置23は、前述のような各方法で、ラック中に格納されている容器の本数を物理的、光学的、音響的手段により計数する。これら2つの情報をマイクロプロセッサB4で照合させることにより、電磁波的に読み取った無線タグの本数と容器検出装置23により計数した容器の本数とを照合し、合致していればグリーンのランプを点灯して表示部B5に正常処理である旨を表示した後、データをネットワーク経由で上位サーバコンピュータに送信する。照合の結果、読み取り本数に相違が出た場合には、赤のランプを点灯して警告を発すると共に、表示部B5にその旨を表示し、再度読み取りを行うか、もしくは不良箇所の特定作業に移る。なお、表示部分には、ラック内部にある容器の位置が表示されるようになっている。
【0086】
図22は、本発明の印刷無線タグを容器底面に印刷した場合の、一括読み取り方法の一例を示している。底面に無線タグを印刷された容器22は、ラック21に格納される。ラック21の下部に配置した無線タグ読み取りアンテナB11をラックの下で移動させることにより、無線タグの一括読み取りを行うと共に、ラック上部には容器検出装置23を乗せ、物理的、光学的、音響的手段を用いて容器22の本数を計数する。本図では無線タグ読み取りアンテナはラック下部一カ所しか記載していないが、ラックの側面等に補助アンテナB12を設置することも可能である。
【0087】
図23は、図22のケースとほぼ同一であるが、無線タグ読み取りアンテナB11は固定されており、ラック21がアンテナB11の上を移動する点のみが異なる。
【0088】
図24は、無線タグ読み取りアンテナB11~B1nからの電磁波照射によって読みとれない無線タグが発生した場合、その位置を、本発明の無線タグ一括読み取り装置に内蔵されている無線タグリーダ/ライタ装置B6の内部回路の設定を適切に変更させることにより、照射電磁波の位相、強度、角度等を調整することで特定する際の仕組みを表している。電磁波的読み取りと物理的読み取りとの照合結果に差があった場合には、無線タグ一括読み取り装置に内蔵されている無線タグリーダ/ライタ装置B6に対して、マイクロプロセッサB4がコマンドを送出する。無線タグリーダ/ライタ装置B6には、位相変調回路B62、強度変調回路B63、照射範囲変更回路B64が内蔵されており、マイクロプロセッサB4からのコマンドに応じて、無線タグ読み取りアンテナB11~B1nから照射する電磁波の位相、強度、角度を任意に変化させることができる。また、無線タグリーダ/ライタ装置B6には、照射アンテナB11~B1nの切り替え装置B61も内蔵されており、マイクロプロセッサB4からのコマンドで、どのアンテナから電磁波を照射するかを決めることも可能となっている。
【0089】
図25A,図25Bは、ラック中の不良もしくは故障している無線タグ、アンテナの向き等配置条件により電磁波に反応しない無線タグの検出方法の一例を示している。ニア・フィールド技術により、無線タグ読み取りアンテナB11,B12より照射する電磁波は位相と強度を変化させることが可能である。対面するアンテナで、相互に位相と強度を調整することにより、ラック21の特定の列または行のみを読み取り範囲に指定することが可能となる。この状態で、位相及び強度を変化させ、無線タグ読み取り時の感度Qの位置を、例えば1列5本の容器が入っている場合であれば、容器1番から容器5番まで移動させることにより、容器1本ずつの読み取り検査が可能になる。容器が当該する列に何本入っているかは、前述の容器検出回路により計数できている。よって、放射する無線電波の反応しない容器の特定が可能となる。
【0090】
図26は、ラック中の不良もしくは故障している無線タグ、アンテナの向き等配置条件により電磁波に反応しない無線タグの検出方法の別の例を示している。この場合では、対向する無線タグ読み取りアンテナB11,B12の前面に金属シールド板B71,B72を設置し、当該シールド板には容器1列分(もしくは1行分)に相当する間隔を設けておく。無線タグ読み取りアンテナB11,B12より照射された電磁波は、この間隔を通してのみ、読み取り電磁波を放射する。このようにして、1列毎に容器22の実際の本数と読み取り数とを照合し、計数が合わない列には反応しない無線タグが存在することが判る。同じ動作を容器1行分に対して実施し、列(X)と行(Y)から、故障した無線タグの特定を行うことが可能となる。
【0091】
図27は、図15と同様の箱状の読み取り装置となっているが、図12A,図12B、図13A,図13Bおよび図14A,図14B,図14Cで示したゲート型の容器本数読み取りユニット23Aを用いた例である。この場合、図15に示した容器上面の無線タグ読み取りアンテナ43は搭載せず、代わって、容器本数読み取りユニット23A、電磁波遮蔽材(電磁波遮蔽布、金属製遮蔽板等)を設置する。
【0092】
図28A,図28B,図28Cは、図15と同様の箱状の読み取り装置となっているが、図12A,図12B、図13A,図13Bおよび図14A,図14B,図14Cで示したゲート型の容器本数読み取りユニット23Aを用いた場合の、アンテナ41,44と容器本数読み取りユニット23Aの駆動機構について示したものである。容器本数読み取りユニット23Aのゲート支柱23Bに、側面用無線タグ読み取りアンテナ41,44を搭載し、読み取りユニット23Aとアンテナ41,44とを同時に移動させることにより、本数の物理的な確認と電磁波による読み取りを行う。
【0093】
図29A,図29B,図29Cは、ラック21の内に格納された各容器22の位置検出を行うための一例を示している。ラック21には、ラック特定IDを示す無線タグ21Aを貼付しておく。本例では、5行×10列のラックを用いて説明する。ラック21内には1番から50番までの50本の無線タグ付き容器22が格納されているものとする。ラック21の内部での位置の表示方法として、行方向に1~5番までの番号を、また列方向にA~Jまでの番号を付与し、行列座標で容器22の位置を示すものとする。この際、原点(1行A列)に相当する位置に、ラック特定IDである無線タグ21Aを貼付しておく。
【0094】
図30A,図30Bに、容器位置検出装置の概要を示す。ラック21の下部にはアクチュエータが設置され、ラック21の内の容器22を1本ずつ順番に上方へ押し出すようになっている。ラック21は通常、電波暗室状態の区域に置かれているため、無線タグ読み取りアンテナはラック内の容器の無線タグ情報を読み取ることができない。ラック21の上部には読み取り用電磁波照射区域が設けられている。電波暗室区域と読み取り用電磁波照射区域とは、切り込みの入った電磁波遮蔽布もしくは金属製のシャッター等で隔離されている。
【0095】
具体的には、ラック21の下部に、容器22の配置パターンに沿って、バキュームアクチュエータを設置する。ラック21の上部には、容器22が通過できるように切れ目が入った電磁波遮蔽布を敷設する。ラック21の上部の空間には、無線タグ読み取りアンテナをラック両側に設置する。図示の例では、電磁波遮蔽布の下部空間が電波暗室の状態となっており、上部が無線タグ読み取り電波の照射区域になっている。これにより、空間を電磁波的に分離することができる。
【0096】
図31A,図31Bは、容器22の位置特定の動作を示したものである。この装置では、「電波暗室領域」と「電磁波照射領域」とに分離し、その間を切り込みの入った電磁波遮蔽布で区切り、アクチュエータを介して容器を1本ずつ読み取り区域へ回転させながら挿入し、そのIDを読み取るようにしている。
【0097】
具体的には、ラック21の下部のバキュームアクチュエータにより、ラック21の容器22を下部から1本ずつ順番に押し出し、電波遮蔽布の切れ込みを通して電磁波照射区域へ容器を回転させながら押し上げる。回転させながら押し上げる理由は、電磁波中でのタグの反応を高めるための処置である。
【0098】
容器22の無線タグ内容を読み取り、その位置情報と共に管理PCにデータを格納した後、アクチュエータは容器22をラック21に戻す。アクチュエータの先端は容器22の下部に吸着するような構造となっている。このようにして、ラック21の原点位置から順番に容器22を電磁波照射区域へ入れる動作を繰り返すことにより、ラック21内に格納された全容器22の無線タグが正常に機能しているかどうかを検査すると共に、容器22の位置情報が取得される。
【0099】
図32は、ラック内容器22の位置検出装置の別の構成例を示したものである。ラックを電波暗室状態に置き、ラック内の容器22を1本ずつ電波照射区域へ押し出す動作は、図31A,図31Bに示したものと同じであるが、図32では、ラック21の下部とラック21の上部の両方にアクチュエータがあり、容器22を電磁波照射区域へ押し出す際にはラック21の下部のアクチュエータを、また電波暗室区域へ戻す際にはラック21の上部のアクチュエータを使用する。これにより、アクチュエータ先端部に吸着機構を設ける必要は無くなる。
【0100】
すなわち、容器移動用バキュームアクチュエータを容器22の底部に並べるとコストが高くなり、構造が複雑になる。上記の構成によれば、アクチュエータが1個のみで、X軸、Y軸両方向に自在に移動可能な支柱に搭載されている。さらに、容器下部のみならず、上部にもアクチュエータを設けることにより、容器22を上下両方から動作させることで、電磁波遮蔽布の切り込みを通過させやすくしている。また、ラック本体は、電波暗室領域に設置され、アクチュエータAが押し出した(Bが引き出した)容器22のみ電磁波照射領域に入り、無線タグのIDを読み取る。容器22の固定は、両アクチュエータA,Bでの挟み込み応力を利用してもよいし、適切な可動型トレーを併用して安定化させてもよい。
【0101】
図33A,図33Bは、ラック21毎の位置検出情報の、管理PC上での表示例を示している。ラック21に貼付されたラック固有IDで、ラック21の保存場所を表示する。ラック21の内部の特定の位置を指示することで、その位置に格納されている容器(採血管)の無線タグ情報と、その無線タグ情報に紐付けされた管理情報が、画面上に出力される。
【0102】
図34は、本発明の無線タグ一括読み取り装置を、インターネット(IP Network)C4を介して上位サーバC6と通信する仕組みを示している。試験管ラックC1を収容して無線タグ一括読み取り装置C2が読み取った無線タグのデータは、IPSecやSSLといった暗号化通信手法、ルータC3,C5の機能により、ネットワーク構造の上位に設置されたサーバC6へ送信される。
【0103】
この間、データは暗号化されており、秘匿通信経路となっているため、セキュリティは確保される。上位に置かれたサーバC6の内部には、データベースが内蔵されており、それぞれの無線タグ一括読み取り装置C2から送られてくる情報を蓄積することが可能となっている。また、適切なIDとパスワードを所有するユーザは、このサーバC6にアクセスすることができ、任意の場所から秘匿通信を介して、蓄積された無線タグデータから検索を行い、任意のタグの情報を任意の位置から閲覧することが可能となっている。
【0104】
図35は、本発明の無線タグ一括読み取り装置の、トレーサビリティーを説明するための一例を示している。本図では、真空採血管による血液検査を例に取っているが、それ以外の製品であっても基本的な構成は変わらない。真空採血管は、製造時に無線タグを印刷により取り付けられる。もちろん、従来のようにシールのように無線タグを貼付しても構わない。この時点で、採血管1本1本が、どこで製造され、無線タグIDは何番であったのかが、上位サーバ上に登録される。
【0105】
次に、真空採血管は出荷され、各地の病院に納入される。病院では患者から採血を行った後、採血済みの真空採血管を本発明の自動読み取り装置を介して上位サーバへ送信する。その際、どの病院でいつ誰の血液を採取したのかが、無線タグのIDと結び付けられる。
【0106】
次に、血液の分析を実施するため、真空採血管はラックに格納され、ラック毎に分析センターへ送付される。この際、病院から分析センターへの通函手続きと、分析センターから病院への通函手続きの際に、本発明の無線タグ一括読み取り装置を使用する。ここではラック毎に一括して無線タグを読み取り、上位サーバへは、どのIDの無線タグがいつ病院から分析センターへ搬送され、またいつ分析センターから病院へ戻ってきたのか、といった履歴が蓄積される。もちろん、分析センター内で分析作業を行い、その結果をサーバに蓄積することで、どのIDの採血にどのような問題があったのか、あるいは問題が無かったのか、といった情報も、各々の無線タグID毎に管理され蓄積される。
【0107】
最後に、使用済み真空採血管は、医療廃棄物処置会社へと送られ、医療廃棄物処理会社では、廃棄寸前に本発明の無線タグ一括読み取り装置で廃棄する無線タグIDを上位サーバへと送信し、確実に廃棄が完了したことをデータベースに格納する。
【0108】
図36、図37、図38は、一般診療機関での血液検査の工程を例に取り、本発明の実施形態を説明したものである。
【0109】
図36において、(1)イニシャル時データベース登録情報は、EPCコード、採血管メーカコード、採血管使用期限、採血検査種別コード、使用医療機関コード、イニシャル登録日付、登録場所及び登録者等である。また、(2)採血現場での情報登録には、各採血管のEPCコード参照(採血管の使用可否判断、カルテとの突合処理)、採血者の個人情報(氏名、年齢等)、採血管毎の検査項目コード(複数指定)、採血日、採血した医療機関コード、診療券番号(カルテと連携する場合)、採血実施看護士、看護士コード等が含まれる。
【0110】
図37において、(3)通函処理には、各採血管のEPCコード、ラックに添付されたRF-IDコード(ラック番号)、出荷日時、出荷元医療機関コード、出荷先検体会社コード、通函場所、作業者等の情報が取り扱われる。また、(4)検体会社側通函処理には、各採血管のEPCコード、ラックに添付されたRF-IDコード(ラック番号)、入荷日時、受け入れ医療機関コード、総入荷本数、通函場所、作業者等の情報が取り扱われる。
【0111】
図38において、(5)検体検査前処理では、個別採血管のEPCコード読み取り、検査項目の確認及び仕分け、検査日時登録、使用検査機関コード登録等の処理がなされる。また、(6)検体検査処理では、個別採血管のEPCコード読み取り、検査項目の検査実施、検査日時登録、結果のデータベース登録等の処理がなされる。また、(7)検体廃棄処理では、個別採血管のEPCコード読み取り、廃棄日時登録、廃棄場所コード登録、廃棄完了結果のデータベース登録等の処理がなされる。また、(8)検体検査結果の確認では、患者氏名でのデータベース検索、検査結果の表示と出力、検査終了コードの確認、廃棄終了コードの確認等の処理がなされる。
【0112】
図36、図37、図38において、無線タグは、ラベラーを用いて容器となる真空採血管に巻き付けられる。この状態で、複数の真空採血管の無線タグIDを、本発明の一括読み取り装置を使用して読み取り、上位PCのデータベース内部に蓄積する。無線タグ付き真空採血管は、この状態で医療機関内部に保存されており、採血時等必要が生じた場合、必要な本数が取り出される。採血に必要な本数の真空採血管は、採血直前に、採血現場での情報登録用PCによって、患者毎の個別情報が登録される。その後、採血済みの真空採血管は、ラックにまとめられた状態で検体会社へ出荷されるのを待つ。
【0113】
検体会社へ出荷する際は、本発明の一括読み取り装置を使用して、通函処理を行い、どの患者のどの採血管が何時検体会社へ送付されたのかを、上位管理サーバへ蓄積する。
【0114】
検体会社では、受け入れ時の通函手続きに、本発明の一括読み取り装置を用いて、どの診療機関から何本の採血管が入荷したかを記録する。実際に検体の検査を行う場合には、自動搬送装置を用いて採血管を1本ずつ移動させ、真空採血管個別読み取り装置で各採血管に貼付された無線タグの内容を読み取る。無線タグの内容により、自動分注検査装置で予め指示されている検査工程を実施し、結果を管理PCのデータベースに格納する。
【0115】
検査が終了した採血管は廃棄されるが、この時、どの採血管を廃棄したかの情報を本発明の一括読み取り装置を用いて取得し、上位管理PCに廃棄済みとして登録する。診療機関側では、上位管理PCにアクセスすることで、検査を実施した患者の結果を端末上で見ることができる。
【0116】
図39A,図39B,図39C,図39D,図39Eは、それぞれ無線タグのラベル面にバーコードを印刷しインレイ化したものの構造を示しており、図39Aは上面図,図39Bは断面図,図39Cはバーコード・ラベルの一例,図39DはRF-IDタグインレイの一例,図39Eは耐寒・耐熱性粘着テープもしくは糊による層を示している。
【0117】
すなわち、上記構造によれば、無線タグのみの管理に加え、バーコードも併用することで、物品の流通過程において無線タグが破損した場合や、無線タグ読み取り環境が無い所でも、トレーサビリティーを確保することが可能となる。
【0118】
図40に、無線タグが故障した場合の対応方法の例を示す。ここでは、採血前の個別情報登録作業時に故障した無線タグが貼付された真空採血管があった場合を示している。対応には二種類あり、新たに無線タグを貼付する方法の他、無線タグのラベル面にバーコードが印刷されている場合には、バーコード読み取り装置を用いて管理することも可能となる。
【0119】
以上が、真空採血管を使用したトレーサビリティーの一例であるが、もし上記工程の途中で読み取りできなくなった真空採血管が発生した場合には、無線タグの故障とみなし、新たな無線タグを貼付することで新規IDを付与すると同時に、サーバ側で新規IDとそれまでのデータとを結び付けることで、100%のトレーサビリティーを確保できる。
【0120】
尚、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成を削除してもよい。さらに、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、特に無線タグを試験管や真空採血管等の容器に取り付け、複数密集して並べられた物品の無線タグを、無線電波により全て読み取る装置に利用して好適するものである。
【符号の説明】
【0122】
11…容器キャップ、12…容器本体、13…無線タグ、131…ループアンテナ、132…無線タグチップ、151…アンテナ、152…無線タグチップ、15…無線タグ、16…無線タグ、161…ループアンテナ、162…無線タグチップ、21…容器格納ラック、22…無線タグ付容器、23…容器検出装置、231…プローブ、232…スイッチ、241…探針(プローブ)、242…圧力センサスイッチ、31…読み取り装置、33…正常表示ランプ、34…異常表示ランプ、35…読み取り結果表示部、41~45…無線タグ読み取りアンテナ、61…モータ、62,63…回転ギア、64…チェーンもしくはベルト、65…無線タグ読み取りアンテナ移動台、661,662…支柱、671,672…無線タグ読み取りアンテナ、71…モータ、74…チェーンもしくはベルト、75…無線タグ読み取りアンテナ、76…無線タグ読み取りアンテナ移動台、81…ラック格納用ターンテーブル、821~824…無線タグ読み取りアンテナ、83…モータ、91…容器格納ラック設置台、921~928…無線タグ読み取りアンテナ、A1…カメラ、A2…画像処理装置、B11~B1n…無線タグ読み取りアンテナ、B4…マイクロプロセッサ、B5…表示部、B6…無線タグリーダ/ライタ装置、B61…照射アンテナ切り替え装置、B62…位相変調回路、B63…強度変調回路、B64…照射範囲変更回路、B71,B72…金属シールド板、C1…試験管ラック、C2…無線タグ一括読み取り装置、C3,C5…ルータ、C4…インターネット(IP Network)、C6…上位サーバ。


【図1】容器キャップへの無線タグの印刷例。容器キャップの周囲に沿って馬蹄型型のループアンテナとタグチップを印刷することにより、採血時の針の貫通口を確保する。
【図2】容器本体への無線タグの印刷例、【図3】容器底面への無線タグの印刷例、【図4】ラックと容器検出装置との構成例。容器格納ラック21の下部に容器検出装置23を配置する。
【図4C/D】ラックへの容器収納状況を示す(平面図)。容器が入っていない位置では、容器検出装置23が見える。【図5A】容器検出装置にプローブ(探針)を用いた例
プローブを用いた容器検出の例。容器が入っていない位置では、検出装置の接点がOFFとなっている。
【図6A/B】プローブによる容器検出の詳細 【図7A】LEDセンサを用いた容器検出の例
【図7B】LEDセンサを用いた容器検出の詳細 【図8A】光量センサを用いた容器検出の例
【図8B】光量センサを用いた容器検出の詳細 【図9A】超音波センサを用いた容器検出の例
【図9B】超音波センサを用いた容器検出の詳細 【図10A/B】圧力センサを用いた容器検出
【図11】受発光型LEDセンサを用いた読取りユニットをラックの列方向にスキャンさせる容器検出方法の例
【図12A/B】容器本数読取りユニットの駆動方法概要
【図13A】容器本数読取りユニットの読取り終了時の状態を示す。ユニットを固定しラックを移動させて読み取ることも可能。
【図14A/B】容器本数読取りユニットの駆動機構の一例
【図14C】容器本数読取りユニットの駆動機構の一例
【図15】無線タグ一括読取り装置の一例
【図16A/B】無線タグ一括読み取り装置の側面アンテナ駆動機構
【図16C】無線タグ一括読み取り装置の側面アンテナ駆動機構

【図17A/B/C】無線タグ一括読み取り装置の上面アンテナ駆動機構
【図18】周囲にアンテナを固定し、その中央でラックを置いたターンテーブルを回転させる読取り方式の例
【図19】容器格納ラック設置台の周囲に複数個のアンテナを配置し電子的に出力を切り替えることによる読取り方式の例

【図20A/B/C】容器格納ラックの上面全体をカメラで撮影し、画像認識を行うことにより容器数とラック内の容器の在否を検出する方法の例
【図21】無線タグによる容器検出本数と、物理的、光学的、音響的手法による計測本数とを照合する装置のブロック図
【図22・23】容器底面に無線タグを印刷した場合の一括読取り方法の一例
【図24】アンテナにより読み取れない無線タグが存在した場合に、その位置を、リーダ/ライタ装置の設定を変更することにより照射電波の位相、強度、角度等を調整することにより特定する方法
【図25A/B】ラック内の電磁波に反応しない無線タグを、電磁波の位相と強度を変化させることにより検出する方法の一例
【図26】ラック内の電磁波に反応しない無線タグを、金属シールド板による電波照射範囲の限定により検出する方法の一例
【図27】ゲート型容器本数読取りユニットを用いた一括読取り装置の例
【図28A/B/C】ゲート型容器本数読取りユニットとアンテナの駆動機構

【図29~32】タグ貼付容器を、アクチュエーターを用いて、電波暗室領域と電磁波照射領域との間で移動させることにより位置検出を行う方法の一例

【図33A/B】ラックごとの位置検出情報の管理PC上での表示例
【図34】無線タグ一括読取り装置をインターネットを介して上位サーバーと通信させる仕組み
【図35】無線タグ一括読取り装置によるトレーサビリティーの説明図
【図36】トレーサビリティーの各段階における処理と登録情報についての説明図
【図37】トレーサビリティーの各段階における処理と登録情報についての説明図
【図38】トレーサビリティーの各段階における処理と登録情報についての説明図

【図39A/B/C/D/E】無線タグのラベル面にバーコードを印刷しインレイ化したものの構造図
【図40】無線タグが故障した場合の対応方法の例