採血管の格納位置管理

 

4.RFIDを用いた医療用採血管の格納位置管理
(特許第5354509号)

大規模な企業で検体を長期間冷凍保存する場合、後日、特定の検体を取り出して再検査を行う必要が発生することがあります。現状では検体はバーコードで管理されていますが、特定の検体が収められている冷凍庫の場所や、ラックの格納場所、さらにはラック内部での目的検体の位置情報までを、一括で管理している例は、ほとんどありません。そのため、再検査が必要となった検体を冷凍庫内のラックから取り出してくる作業に、多大な時間が必要となっているのが実情です。

特許「容器管理システムと容器情報読取り装置及びラック情報読取り装置(特許第5354509号)」は、以上の状況を鑑みて特許査定を受けたものです。

本特許では、医療用検体をラックに格納する際に、検体に貼付された無線タグの固有情報を自動的に読取り、管理サーバ上のデータベースに位置情報と併せて保存する、「登録装置」を使用することで、簡単に各検体の保存位置情報を管理できるようにしたものです。

管理サーバのデータベースに蓄積された各検体の個別情報は、管理用の端末(PC等)から適切な検索キーワードを入力することで、瞬時に読み出すことができます。この場合、ただ単にラックが格納されている冷凍庫の位置だけでは無く、ラック内部における検体の保存位置情報(行列表示)まで検索できるので、目的の検体を探す手間を大幅に省くことが可能となります。

本特許の装置では、検体を抜き出したり、取り出した検体を元に戻す作業を行うと、管理サーバ上のデータベースがリアルタイムで更新されます。そのため、従来のようにサーバ上のデータ管理を手動で行う必要が無く、エラーを低減することができます。また、取り出した検体を別の場所に格納する場合も、サーバ側の位置情報が自動的に変更されます。

多くの検体検査機関では、検体を一定期間保存するよう、義務付けられています。今後検体の本数が増加すると、検体の再検査を実施する際に発生する稼働が増大します。検体を保存する際に、本登録装置を使用することで、将来に渡って多数の個別検体を確実に、しかも短時間で管理することが可能となります。(続きを読む)

特許「容器管理システムと容器情報読取り装置及びラック情報読取り装置(特許第5354509号)」の実施例の一つ。この図では、検体をラックに格納する際に、自動的に格納位置を登録する装置を示しています。ラック上部に設けられたブリッジを介して検体をラックに挿入することで、管理サーバのデータベースには、検体が格納された位置情報と検体に貼付されている無線タグの固有情報とが紐付けられた状態で蓄積されます。
特許「容器管理システムと容器情報読取り装置及びラック情報読取り装置(特許第5354509号)」の別の実施例の一つ。検体をラックに格納する際に、自動的に格納位置を登録する装置の別の例を示しています。ラックの各格納位置の下部に、検体が格納されたかどうかを検出するセンサーを並べています。検体がラックに格納されると、センサーが格納場所と、格納された検体に貼付された無線タグの固有情報を、管理サーバ上のデータベースへ自動的に送信します。
ラック内から特定の検体を検索するシステムの画面例を示しています。検索画面では、目的の検体がラックの何行何列に格納されているのかが、表示されます。さらに、検体をラックから取り出すと、取り出した検体の状態が「登録済み」から「取り出し中」へと自動的に更新されます。
保存検体の検索作業を示したものです。管理用PCから目的の検体を検索すると、保存されている冷凍庫の棚番号およびラック番号が表示されます。冷凍庫から目的の検体が保存されているラックを取り出し、本特許の登録装置にセットした上、目的の検体を取り出します。再検査が終了したら、検体をラックに戻します。これら一連の操作は、全てリアルタイムで管理サーバ上のデータベースに反映されますので、検体の検索履歴、使用履歴の蓄積が容易に実現できます。

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