1.実験の概要
RFIDは半導体デバイスを用いた製品です。常温の使用では特に問題は生じませんが、医療検体保存のような極低温下での長期保存については、これまであまり実験が行われていませんでした。
当社では、2005年04月より、医療機関のご協力を得て、様々な種類のRFIDインレイの冷凍保存実験を行ってまいりました。ここにご紹介するのは、極初期の実験の一つです。当時主流であった2.45GHz帯マイクロ波RFIDインレイを、血液保存用の冷凍庫に保存します。冷凍冷蔵庫の温度は-135℃と-80℃の二種類です。それぞれにRFIDタグを保存し、1時間後に出して正常に動作するかどうかを確認しました。また、冷凍冷蔵庫の中に1ケ月、3ケ月と長期に渡り保管し、それぞれ正常に動作するかどうかを確認しました。
※本実験は、2005年04月06日に、某血液センターに於いて実施されました。
2.実験結果
いずれの温度の場合も、冷凍庫から取り出して数秒~15秒程度でタグの内容を読み取ることができました。一般に半導体デバイスは、電源を全て切断した状態で低温下に保管されていると、通電後の起動がしにくくなる性質がありますが、RFIDチップの場合にはチップのダイサイズが小さいため、その心配はほとんど無いと言えます。
但し、2.45GHz帯のRFIDタグの場合、水分が電磁波を吸収してしまうため、タグ表面に付着した霜が溶けて液体状になると、逆に読取り性能が悪くなるという結果になりました。この点については、その後、登場したUHF帯のRFIDを用いることにより改善されることになります。(続きを読む)