5.RFIDを用いた医療用採血管の検体管理システム
(特許第5348243号)および(特許第5354509号)
(米国特許庁登録 13/271,602)
最後に、無線タグ(RFID)貼付の医療用採血管を用いた検体検査管理システムの概要について説明します。
現在、医療用採血管の管理には、バーコードが用いられています。採血を実施する際には、医師から検査オーダーが発行され、採血管準備装置が採血管にバーコードラベルを貼付したものを必要本数用意します。無線タグ(RFID)を用いた場合も、ほぼこれに準拠する作業となります。今までバーコードのみ印刷していた採血管準備装置で、RFIDを内蔵したバーコードラベルを発行することになります。
採血現場では、患者に採血を行う前に、医師のオーダーに応じて準備された採血管を、メインとなる管理サーバに登録します。この段階で、患者へ適切な採血検査が実施されているかどうかを確認することができます。
検体検査装置を持たない病院では、毎日1回、その日の検体をまとめて検査会社へ出荷します。バーコードの場合では、検査会社が医療機関で検体を回収する際に、個々の検体のバーコードを読み込む作業をしていません。これは、検体本数が多い場合には、多大な工数が発生するからです。しかし、RFID貼付の検体では、検体を収納したラックを一括読取り装置に通すだけで、その日に出荷する検体全てをリアルタイムに管理することが可能になります。即ち、今まで行われていなかった「医療機関が出荷した検体数の管理」を、容易に行うことができます。
検体検査会社が医療機関から検体を引き取り、検査機関へ届けるまで、物流の要所要所に無線タグ一括読取り装置を置くことで、検体移動の際に発生する紛失を防止すると共に、現在検体が物流過程のどこにあるのかを容易に把握することが可能となります。
現状では、検体検査機関での検体の受け入れ処理(これを着認処理と言います)に多大な時間と人的工数が発生しています。また、その日に届く総検体数の事前予測も困難ですので、何人で対応すれば良いかは、それまでの経験に頼るしか方法がありませんでした。RFIDによる検体管理を実施すれば、病院で採血等の検査が実施された時点で、サーバに検査が必要な検体が登録されるので、予め検体検査機関において、その日に処理する検体数を確認することができます。また、着認処理も、検体が収納されたラックを一括読取り装置に通すだけとなるので、工数が大幅に削減され、ミスも低減されます。(続きを読む)